2013年最初に届いた詩集は花崎皋平『風のとおる道』でした。
花崎皋平さんは、著名な哲学者にして、詩集『アイヌモシリの風に吹かれて』で小熊秀雄賞を受賞された詩人です。
大きな人です。
躰のことだけではなく、です。
該博な知識の偉い方なのに尊大なところがまったくない方です。
81歳、温厚で穏やかで、懐のおおきな老師の風情ですが、裡に烈しいまでの一途さも持つ青年の貌も。
花崎さんの詩は、素朴な言葉で綴られています。
現代詩の難解めくレトリックや外連がないのです。
「人の魂の神聖さをしみじみ学ぶ。/簡潔で明快な示唆がある。提起がある。/絹のような艶と 綿のような素朴な手触りとを併せ持つ。/重みと軽み亦併せ持つ。慈しみ深く 虔しみ深い」と
彼をよく知る詩友・長屋のり子さんが帯文に記した通りです。
『風のとおる道』は、8章からなる詩集です。
旅や友や思想や家族のことなど、どれもすっと読めるのですが、深く残ります。
巻頭詩の「足尾を歩く」も印象的ですが、「痛ましいー上西晴治を悼む」の次の語が灼きついています。
アイヌ ネノ アン アイヌ (人らしい人)