遊と聡 ー 映画「雷桜」と「オーバー・フェンス」

大雨がやっと上がったと思ったら、急に暑くなりました。
そうでした、夏でした。気がつけば7月も終わるところです。
今月は充実した日々でした。
図書館で調べものをしたり、友だちと会って話したり、長めの原稿も書きました。
そして、映画「オーバー・フェンス」の完成披露上映会にも行きました。
上映前に監督・俳優の舞台挨拶がありました。山下監督・オダギリジョーさん・蒼井優さん・満島真之介さんの登場に、芸術ホール超満員のお客様から歓声が沸きました。
山下監督は、「どの俳優もすばらしい。俳優たちの芝居を浴びてください。」と言われましたが、本当にみなさんすばらしかったです。主演のオダギリさん蒼井さんはもちろん、満島さん、松田翔太さん、北村有起哉さん、鈴木常吉さん、優香さんも。
わたしが特に驚いたのは、蒼井優さんでした。
前に観た「岸辺の旅」の優さんとは、また違う迫力でした。
脚本が、「そこのみにて光輝く」の高田亮さん。高田さんは佐藤泰志を読み込んでいるなと感心させられます。
まだ映画は公開前なので、内容については控えますが、俳優さんたちの熱演と函館の坂や公園、とてもいいです。

蒼井優さんの渾身の演技に感動して、そういえば彼女は宇江佐真理さん原作の「雷桜」にも出ていたはずと思い出して、遅ればせながらDVDで観ました。
これがまた、優さん凄いんです。白馬を駆って森を行く姿もかっこいい。原作者の宇江佐さんをして「主人公の蒼井優さんは体当たりの演技を見せる。普通の女優さんならきれいに見えるように表情を作るが、今回の蒼井さんにはそれがない。泣くシーンではよだれが流れるのも構わず盛大に泣く。笑うときも盛大に笑う。蒼井さんは小説の主人公そのものに見えた。」(『見上げた空の色』所収「試写会」より)と言わしめています。
映画「雷桜」は2010年の公開だったのですね。「海炭市叙景」と一緒。
「海炭市叙景」のことで無我夢中だったから、宇江佐さん原作の映画を観もしませんでした。でも、今回「オーバー・フェンス」のあとに「雷桜」を観て、蒼井さんの演じた二人の女性に共通するものを感じて、感慨深かったです。
「雷桜」の遊は、森に暮らし里の人から天狗と思われている野生児です。自分のことを「俺」と言います。「オーバー・フェンス」の聡(小説では「さとし」)も、男みたいな名の痛々しいほど烈しい女性。
宇江佐さんが「雷桜」の蒼井さんを観て書いた感想は、そのまま「オーバー・フェンス」を観たわたしの感想でもあります。
映画 雷桜

宇江佐真理・佐藤泰志という函館の二人の作家の作品に出て、主人公そのものを見せてくれた蒼井優さんに、ありがとうを言いたいです。

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