光の丘で - 「ここにある半島」

昨日は一日雨でしたが、今日(10月10日)は秋晴れ、真っ青な空!
朝は12℃と寒かったですが、日中は陽射しがふりそそぎ半袖でもいいような暖かさでした。
洗濯を干し家事をすませてから、東山の佐藤泰志のお墓へ参ってきました、
墓園へ向かう途中の道にあるお寺の案内板に
 
頑張っても
駄目な時はある
でも
無駄ではない
 
と書かれた紙が貼ってありました。
どうということもない言葉ですが、なんだか佐藤泰志のことを言ってるみたいで胸がいっぱいになりました。
いま函館や東京で公開されている映画「書くことの重さ 作家 佐藤泰志」でも描かれているように、泰志は芥川賞の候補に5度なりながら受賞は果たせませんでした。
駄目でした。
でも、こうして著作が刊行され映画になり、彼の読者は増え続けています。
こんな報われかたは稀有なことでしょう。
クレインの文さんはじめ関わった方々のお陰です。
そして、それもこれも佐藤泰志が頑張って書いたから、ですよね。
 
 
眩しいほどの光の墓園でした。
舗道のナナカマドの実が赤く色づいています。
ななかまど
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
佐藤家の墓前には、いま火がつけられたばかりのお線香の束が・・
まわりを見渡しましたが、人の姿はありませんでした。
お仕事の途中にでも急いでお参りされたのでしょうか。
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佐藤家の墓は丘の中央の芝生にあります。
高さが低く決められていて、すべて函館山に向いています。
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なだらかな丘の斜面には放射状にアスファルトの道が幾本もついている。三十メートル間隔で、それと交差する道がぐるりと輪を描いている。墓はすべて長方形を横に寝かせた形で、サイズはどれも同じだ。特別製はひとつもない。違うのは色だけだ。 (『海炭市叙景』9「ここにある半島」より)
 
佐藤泰志は、この墓所の物語を、『海炭市叙景』の第一章「物語のはじまった崖」の9篇目、ラストに置いています。
それは冒頭の「まだ若い廃墟」と対称をなすものです。
函館山と東山
無職の兄妹と墓所の男女
不意の別れと別れの決意
そして、どちらも女性の視点
ここに立つと、彼の意図したことが判るような気がします。
 

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