函館の八月は、夏とも思えない雨まじりの涼しい日々が続きました。
それでも、湯の川の花火大会の昨日と今日は夏らしい良い天気でした。太陽も、明日から2学期のはじまる子どもたちに、明るい夏の思い出を残したかったのでしょうか。
湯の川の花火大会が始まったのは、わたしが高校生の頃でした。松倉川の河口と海の交わるところが花火の打ちあげ場所。松倉川に灯籠を浮かべるため、函館北高校のラグビー部部員たちが汚れた川に腰まで浸かって掃除していたのを覚えています。
子どもたちが小さい頃は、3人を連れて函館港まではなかなか行けませんでしたが、この湯の川温泉街の花火は実家が近かったので毎年出かけました。
母がかわいい孫たちのために山ほど唐黍をゆでて待っていたのを思い出します。
すごい人出だろうと、海へ向かう人の波で予想されたので、ベランダから眺めていました。
川沿いだと仕掛け花火が川面にも映ってもっとずっと綺麗なはずです。
イカの花火もあがりました。次はイカだと判っていればもっときれいに撮れたかも知れませんが、いきなりでしたから心の準備が・・・
でもこうしてみるとずいぶん大きなイカですね。イカった(函館弁なり)!
明けて、今日は静かな町並みでした。
八月お盆の後の花火大会が終わると、この町の夏も終わり。
お子たちも夏休み最後の一日を噛みしめていた? それともかけこみ宿題かな?
わたしは、シネマアイリスの菅原さんからご恵投いただいたシナリオ『きみの鳥はうたえる』(三宅唱・松井宏)を読んでいました。
原作は佐藤泰志。五度芥川賞の候補になった泰志の最初の候補作です。
シナリオの内容については、映画を観る愉しみを殺いではいけないので触れませんが、感じたことを二点だけ記しておきます。
☆ひとつ、エンディングがとても印象的でした。
青年の夏の終わり。
「僕」は、とても複雑微妙な内面の演技を要求されたのではないかと思います。
そういえば、主演の柄本佑さんはNHKのインタビューで
「名前のない役は初めてだったので、そこがむずかしかった」と仰ってました。
☆ふたつめ、原作は都内の書店が舞台でしたが、映画は函館での撮影を活か(イカ!笑)したシナリオでした。
以前、『函館文学散歩』という冊子で佐藤泰志を担当したとき、紹介見出しに「青春の屈折と砂州の街に生きる人々を描いた」と記しました。
前者は「市街戦のジャズメン」「移動動物園」「きみの鳥はうたえる」等、後者は「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」等、佐藤泰志の二つの傾向、作風を表すものとして。
ところが、「きみの鳥はうたえる」のシナリオを読んで感じたのは、この二つを併せ持っているということでした。映画の公開が楽しみです。
個人誌「恒河沙」発行からちょうど1ヶ月経ちました。
たくさんの方から、過分なお褒めや、ありがたい感想をいただきました。
感謝申し上げます。
佐藤泰志夫人の喜美子さんからも、とてもうれしいお手紙や関係コピーを頂戴しました。
(ブログもご覧になってくれたそうで、感激。)
「きみの鳥はうたえる」映画化については、出演の柄本佑・染谷将太さんが好きなので楽しみですと書いてありました!
映画の公開は来年になるそうです。
待ち遠しいですね。
それまでに、いっぱい勉強して「恒河沙」2号が出せたらいいな、と思っています。