きのうは『游人』19号の合評会でした。
年に一度、細々と発行してきて19号になりました。
最初のメンバーで集まって詩の勉強をするようになってからは22年です。
この間に、3人の同人を喪いました。
藤田節子さん、平塚みちるさん、そして、今号発行直前に逝ってしまわれた、なかの頼子さん。
今号は、なかのさんの詩集『さよなら✻アボカドの日』の特集だったのに、追悼特集のようになってしましました。
さびしい。
かなしい。
1年前、お祝いの会を函館で開いたことが思いだされます。
これから、この会はどうなっていくのだろう。
そんな心細さを抱えながらも、今号から参加の新しい同人がいます。
やれるところまでやってみようと思います。
今号も表紙は、なかのさんの絵でした。
きのう、わたしは朝からひどく苛立っていました。
こころが波立ち、ささいなことにも突っかかりたい嫌なヤツ(笑)。
夜、遠くの友の労りに泣いたり笑ったりの、不安定なかっこうのこどもでした。
きょう、きのうの合評会に来られなかった同人(小樽)の長屋のり子さんからいただいた小さな本を読みました。
彼女の企画で発行された、道内在住だった飛島詩子さんの『海へ』という児童文学です。
だった、というのは、飛島詩子さんも、発行直前の4月に亡くなられたのです。
63歳という若さです。
『海へ』は利尻に住む中学2年生の女の子が主人公。
北の島で暮らす少女の物語です。
中学生でも食事の支度や浜の仕事も手伝う働き手です。
身なりもかまわず働く母を嫌悪したり、札幌の高校へ進学した兄の悩みを知ったり。
そして、海から学ぶのです。
海は、わたしをささえもしないし、つかまるところさえない。たよりになるのは、わたし自身だ。
-わたしは、わたしなりに、泳ぐしかないんじゃない。
手足の先がのびて、水平線まで、とどくように、わたしの体は、海と一緒に広がりだした。
汐の香りがしました。わたしの胸にも海が広がりました。
作者は亡くなっても、作品は生きているのです。
利尻の少女に、遺された作品に、励まされました。
『海へ』の初出は1978年の『北海道児童文学全集』第3巻です。
35年前の作品ですが、年月に色あせない清しく力のある物語でした。
元気を出して、わたしもわたしなりに游いでいこうと思います。
『海へ』飛島詩子著(テンブックス 1500円)
装幀は絵本作家の長野ヒデ子さん