仙台メモ② ー 生きながら針に貫かれし蝶のごと・・・

なんだか慌ただしい日々でした。
小さな旅から戻って1週間、夜は虫の声が賑やかです。
間があいてしまいましたが、仙台メモの続きをちょっとだけ。
 
2日目は寝不足もいいとこでした。
前夜、ホテルに戻ってから直ぐには寝付けなかったのです。
『日本の悲劇』鑑賞と交流会の余韻で興奮状態だっただけでなく、パンフレットを開いちゃったからです。
すごく読み応えのあるパンフレットなんですよ。
表紙は①に載せたので、中をチラ見せ(笑)
003 写真も文もたっぷり。
執筆者は湯浅誠さん、福間健二さん、港岳彦さん、モーリー・ロバートソンさん、石塚秀哉さん
他にも、寄せられた多くの声や、シナリオまでも併録されています。
 
映画と共にぜひ!
 
 
 
そんなわけで眠かったですが、早起きしました。
行きたいところがあったのです。
行き先は仙台文学館です。
旅の楽しみのひとつに、その土地の文学館や好きな詩人・作家の記念館へ行くことがあります。
長崎では遠藤周作記念館、山口では中原中也記念館や種田山頭火の庵、
松山の正岡子規記念館、横浜の大佛次郎記念館・神奈川近代文学館、東京では林芙美子記念館
去年は前橋文学館や山形の斎藤茂吉記念館に行きました。
 
仙台文学館へはバスに乗って行きました。
バスを降りて緩やかな坂を上ると設えた沼のうえに架かる橋を渡って入館。
大きな建物でした。
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2階で受付し、3階の展示場へ。
コーナーコーナーに井上ひさしの言葉がかかっています。
仙台は『青葉繁れる』や『聖母の道化師』などに描かれていますが、井上ひさしが青春時代を過ごした土地でした。
彼が仙台第一高等学校時代、映画館に通い詰めた話や、お世話になっていたラ・サール会の聖職者たちとの心温まるやりとりを、読後何十年も経っているのに憶えています。
 
展示されている仙台ゆかりの作家や詩人、文学運動など興味深く眺めました。
なかでも、詩歌のところは印象的でした。
全然知らなかった人と作品、
若くして事故死した石川善助という人の詩は、いまどきの若者みたいな言葉遣いが面白かったり。
短冊に綴られた短歌にハッとしたり。
 
生きながら針に貫かれし蝶のごと悶えつつなお飛ばむとぞする
 
原 阿佐緒の短歌です。
画家であり、歌人であった原阿佐緒は波乱に満ちた人生を送っています。
名家に生まれ、上京し女子美で日本画を学び、短歌も与謝野晶子に認められるなど充実した日々を送ったのち、
家督の相続・結婚、出産、離婚、さらに「恋愛事件」、酒場の経営、女優、などなど、華やかさと寂しさの流転の日々・・
 
人妻はかなし歌よむことをさへ みそかごとするごとく恐るる
 
美しく才能もありながら、歌壇からは忘れられた時期も続いたようです。
母でもありました。
わたしも好きだった俳優の原保美さんは彼女の次男です。
 
泣く真似して指のひまより見し吾子の かなしげの眼を忘れかねつも
 
病弱で孤独、そんな母を見る、母から離れて暮らすことも多かったらしい子どもも寂しげです。
原保美さんは優しげなかたでしたが、こんな幼少期だったのかと胸が詰まる想いでした・
 
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そして、そして、
仙台文学館の館長さんは、歌人の小池光さんです!
文学館で小池光短歌講座も開かれています。
もう、なんて羨ましい環境でしょう。
2013年は10回開かれますが、連続講座ではなく、毎回事前に申し込み課題作品を一首提出するそうです。
これだと、毎回は無理な遠方の方でも参加できますね。
ご興味のある方は、ぜひどうぞ!
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